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長縄 弘親; 太田 康雄*; 館盛 勝一
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 69(10), p.2869 - 2875, 1996/00
被引用回数:3 パーセンタイル:27.55(Chemistry, Multidisciplinary)ドデカンのような無極性溶媒中においては、溶質と溶媒との間の相互作用が非常に小さいため、溶質間(ここでは硝酸分子と水分子間)の相互作用の大きさを見積るのに適している。本研究では、このような不活性溶媒を利用して、硝酸の水和、およびそれに伴うイオン化の本質を明らかにするものである。分配法は、溶質(極性物質)の濃度を大きくできない無極性溶媒の系に適した手法であり、さらに溶媒の効果を評価できるという利点がある。ドデカン中では、ベンゼン中と同様に分子性硝酸1水和物とイオン性硝酸10水和物が見つかったが、これらの水和物の生成に及ぼす溶媒の効果をドデカンとベンゼンで比較することができる。ベンゼンはどちらの水和物もドデカンよりもずっと安定化させることがわかったが、分子性硝酸1水和物の安定化効果の方が大きく、その結果、ベンゼン中ではドデカン中ほど硝酸のイオン化は起こらない。
長縄 弘親; 館盛 勝一
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 67, p.2690 - 2699, 1994/00
被引用回数:7 パーセンタイル:43.92(Chemistry, Multidisciplinary)再処理・群分離における抽出分離工程は、硝酸系であることから、硝酸の化学的性質が常に問題となる。水溶液中での硝酸の研究は歴史が古く、今までに多くの報告が発表されているが、有機溶媒中、特に炭化水素系の無極性有機溶媒中において硝酸がどのような状態で存在しているかは、ほとんど知られていない。しかしながら、上記の抽出分離工程において、実際にかなりの量の硝酸が有機相(TBP-ドデカン溶液等)に抽出されるため、有機溶媒中の硝酸の存在状態を研究することが非常に重要となる。本研究は、無極性溶媒中における硝酸のイオン化や水和、溶媒和といった基礎的な性質を解明することを目的とし、溶媒には、アルカンよりも多くの硝酸を溶解できるベンゼンを選んだ。分配法と分光法(UVスペクトル)からベンゼン中における硝酸のイオン化と水和を明らかにした。